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キリングループが葡萄の苗木増加に挑戦-日本ワイン生産量底上げを目指す
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ワイン製造業の大手、メルシャンを擁するキリングループが葡萄の苗木を増やす技術の開発に乗り出した。
近年、日本国内で葡萄の栽培から醸造までを行う「日本ワイン」の人気が高まるにつれ、原料となる葡萄の苗木不足が深刻化している。
開発に成功した暁には、他の葡萄農家やメーカーにも技術を提供し、日本ワインの底上げを目指す考えだ。
メルシャンによると、2015年の国内製造ワインの出荷量は2005年比で16.8%も増加しているという。
国税庁が2015年10月に「日本ワイン」を定義したことも、ワイン愛好者の関心を高めている。
また、国税庁の調べでは、新たに免許を取得したワイン製造場の数は2013年度が12カ所だったが、2015年度は34カ所に激増した。
需要の急増の影響で、近年はワイン用葡萄の苗木不足が深刻となっている。
山梨県笛吹市で苗木の栽培を手掛ける志村富男氏は、「全ての注文に応じることはできない」と語った。
志村氏所有の畑で育成可能な苗木は年間約4万本なのに比較し、注文数は8万本前後。
明らかに供給が不足している状況だ。
こうした状況を改善すべく、苗木の増加に向けた基礎研究をキリン基盤技術研究所(横浜市)が手掛けることとなった。
同研究所では、植物の苗を大量に培養する技術を既に確立しており、キリングループはカーネーションやジャガイモの栽培・販売事業において国内外で成功を収めている。
また、2014年からは、東日本大震災で壊滅的被害を受けた東北地方海岸林の再生プロジェクトに参加し、クロマツの苗木を大量に培養する「簡易な袋型培養槽システム」を開発している。
大量に増殖した植物の胚を特殊な袋で省力・低コストに培養する技術を、葡萄の苗木にも応用する試みだという。
さらに、メルシャンが実用化に向け可能性を探る形となる。
同研究所の大西昇副所長は「息の長い取り組みだが、どこかで着手しないと永遠に始まらない」と、将来を見据えた視点を語る。
メルシャンの横山清社長は、技術開発が成功した場合には「外部の方にも使ってもらい、日本全体のワイン文化が発展してほしい」と語った。
2016/12/07 SankeiBiz、キリン株式会社公式サイトより引用。
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みんなのワインでも「日本ワイン、葡萄不足が進行」などで度々日本国内でワイン用の葡萄が不足しているという情報を取り上げておりましたが、近い将来、改善に向けた明るいニュースも報じられることを期待したいと思います!
また、サントリーも、山形、長野、山梨で行政と連携して葡萄畑を拡大しているそうで、各社様々なアプローチで葡萄不足に対応していることが見て取れます。
また、大手事業者だけでなく、様々な国内ワイナリーが自社畑を少しずつ拡大しているニュースも見かけるようになってきていますので、需要に供給が追い付く日ももしかしたらそう遠くはないかも!?
ちなみに、日本産の葡萄や日本固有品種から造られるワインもとっても美味しいものがたくさんありますので、有名どころにとどまらず、いろいろな土地の地ワインを幅広く楽しんで行きたいと思います!