初心者でも3分でわかる!ワイン用語集
AOC(Appellation d’Origine Contrôlée)
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フランスワインにおける「産地の証」
「AOC」は、Appellation d'Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)の略で、フランスのワインにおける「原産地統制呼称制度」です。
これは、特定の地域や畑で収穫され、厳しい基準を満たしたワインにだけ与えられる品質保証のことです。
ラベルに「AOC」と書かれていれば、そのワインがフランスの特定地域で伝統的な製法に従って作られ、産地の個性や風味が反映されている証となります。
【初心者でもすぐわかる】偽ワインの被害を防ぐためのフランスの産地保証の仕組み
フランスのAOCの代表例には、シャンパンが挙げられます。
シャンパンはシャンパーニュ地方でしか作られない発泡ワインの名称であり、AOCの認定を受けるには、生産地と使用する葡萄品種、製法といった条件を満たす必要があります。
このように、AOC認定を受けたワインは、品種、栽培方法、収穫量、熟成期間などの厳しい基準を満たしたものとなっていて、その地域特有の伝統と品質が詰まっています。
AOCができた背景には、古くからのワイン銘醸国であるフランスの偽ワインとの闘いの歴史があります。
19世紀後半のフランスは、病害や戦争による影響でワインの生産量が低下し、その混乱に便乗した偽ワインが出回るようになりました。
これに対応するため、フランス政府は「AOC」制度を導入し、産地ごとの品質や伝統に則った独自性を守る体制を整えました。
以降、ボルドーやシャンパーニュなどのワインも、特定の地域と基準に従った品質が保たれるようになったのです。
フランスワインには、AOCを含めて4つの区分が設けられています。
産地名が表記されず条件も一番緩い「Vin de Table(ヴァン・ド・ターブル)」、地方名や県名が表記された「Vin de Pays(ヴァン・ド・ペイ)」、産地ごとの基準が定められた「VDQS(Vins Délimités de Qualité Supérieure/ヴァン・デリミテ・ド・カリテ・シュペリュール)」、産地ごとの基準が特に厳しく定められた「AOC」に分かれています。
AOC認定は、単なる産地名だけではなく、ワインの品質を示す印と言えます。
この認定によって、そのワインの産地や品種、製法が保証されており、品質の基準をクリアしていることが分かります。
AOCラベルがついたワインを選ぶことで、その土地ならではの本格的な味わいを楽しむことができます。
ワイン初心者にとっても、フランスワインを楽しむにあたっての安心の証がAOCです。
なお、2008年にヨーロッパのワイン法が改訂され、収穫年が2009年のものから「AOP(Appellation d’Origine Protégée/原産地呼称保護)」が導入されました。
AOPはEU共通の呼称となっており、基準や概念にAOCとの大きな違いはありません。
AOCが廃止されたわけではないので、現在はAOCとAOPの両方が表示されているワインもあります。
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