知ってる?ワイン話
【調べてみた】ドイツワインを知りたい!
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こんにちは、葡萄院駄目代です。
ドイツワインはお好きですか?
私は大好きです。おいしいです。
ドイツというと「シュヴァルツ・カッツ」「リープフラウミルヒ」など甘い白ワインのイメージが強いのではないでしょうか。
1980年代まではワイン輸入量はドイツ産がトップだったというほど日本で親しまれてきたドイツワインですが、種類や産地、等級などの詳しい話は意外と知られていない気がします。
もちろん駄目代も不勉強極まりないので、これを機に勉強してみました!
ドイツワインの主な産地
ドイツは葡萄の栽培が可能な地域の北限に位置する寒冷な気候で(ベルリンの冬はマイナスに達するらしいです)、葡萄の栽培は南部地方に集中しています。
その気候から、黒や赤の葡萄は十分に着色せず、色が薄い仕上がりになるようです。
一方、夏季の日照時間の長さによって、凝縮性が高く酸味に富んだ独特の風味を持つようになっています。
ドイツワインの独特な味わいは、地域と気候によって生まれるのですね!
地域名 | 特徴 |
アール (Ahr) |
赤ワイン用品種のシュペートブルグンダー種を主に栽培し、軽めで薫り高い赤ワインを産出する。 |
ラインガウ (Rheingau) |
ライン河の沿岸地域。南向きで日当たりのよい畑が多い。リースリング種が主体で、赤ワイン用品種のシュペートブルグンダー種も多く栽培されている。フルーティで華やかなワインを産出する、ドイツの中でも中心的な銘醸地。 |
モーゼル (Mosel) |
モーゼル河とその支流ザール河、ルーヴァー河の3つの河の流域にある産地。白ワイン生産比率がドイツで最も高く、リースリング種が栽培面積の半分以上を占める地域。ラインガウと並ぶ銘醸地。代表的なワインはシュヴァルツ・カッツ。 |
ラインヘッセン (Rheinhessen) |
ドイツ最大の栽培地。ワイン生産量も国内で一番多い。白はミュラー・トゥルガウ種、赤はドルンフェルダー種を多く栽培している。特にシルヴァーナ種は世界最大の栽培面積を誇る。ソフトで繊細なワインを産出する。代表的なワインはリープフラウミルヒ。 |
ナーエ (Nahe) |
ナーエ河流域にある産地。リースリング種が主体で、そのほかミュラー・トゥルガウ種、シルヴァーナ種が栽培されている。モーゼルワインの持つ花の香り、ラインガウワインの上品さを兼ね備えたワインを産出する。 |
バーデン (Baden) |
ドイツ南西部の産地。比較的温暖な地域のため、ドイツ土着品種以外も栽培しており、多様なワインを産出している。 |
フランケン (Franken) |
マイン河上流にある産地。主にシルヴァーナ種を栽培し、辛口ワインを産出する。ボックスボイテルという丸く扁平な形のボトルやシュタイン畑などが有名。 |
ヴュルテンベルク (Württemberg) |
レンベルガー種など赤ワインの多い産地。シラーヴァインという、ヴュルテンベルク産の赤と白の葡萄を最初から混ぜて造られるワインが有名。 |
ファルツ (Pfalz) |
比較的温暖な気候で、ラインヘッセンに次ぐ広大な産地。主にリースリング種、ミュラー・トゥルガウ種、ドルンフェルダー種、ポルトギーザー種が栽培される。粘土と泥灰土の土壌からは芳香と風味が心地よいワイン、石灰岩粘土や混合土壌からは軽くフレッシュなワインが産出される。 |
ドイツワインの品質等級
ドイツワインの等級は大きく4つ、細かくは9つあります。
ドイツワイン法に則り、産地や品質、また糖度によって定められた等級に分類され、ラベルなどに記されます。
ちなみにドイツワイン法は、世界一厳格と言われるほどだそうです。
ドイツのイメージそのまんまですねw
等級下位の2つ(ターフェルヴァインとラントヴァイン)は基本的には国内でのみ消費され、海外には出回らないのだそうですが、最近はイオンなどでも取り扱うようになってきたりして、手に取る機会が増えているように思います。
クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート (Quäitatswein mit Präikat) |
ドイツワインの最高クラス。「クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート」は2007年までの旧称。現在は「プレディカーツヴァイン」または「Q.m.P(クー・エム・ペー)」と呼ぶ。生産地限定格付け上質ワイン。葡萄収穫時の最低糖度などで 「Q.b.A」より厳しい条件の公的な検査に合格したワインで、補糖は禁止されている。13のワイン生産地域の中で区分されている地区(ベライヒ)のひとつで収穫された葡萄のみで造られ、他の地区のワインとのブレンドは認められない。葡萄の糖度・収穫方法によってさらに6つに分類される。 | |
トロツケンベーレンアウスレーゼ (Trockenbeerenauslese) |
完熟した果実に貴腐菌が付着し、乾燥した粒を1つずつセレクトして収穫した葡萄で造られる。蜂蜜のように濃密で、非常に希少価値の高い最高級のワイン。 | |
アイスヴァイン (Eiswein) |
果実が畑の中で氷結するのを待ち、摘果して造られる希少なワイン。通常、1~2月のマイナス8℃にもなる環境の中で収穫される。コクが強く、とろけるようなテクスチャーを持つ。フルーティさと酸味、また甘味とが完璧なバランスを見せる濃厚なワイン。 | |
ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese) |
貴腐葡萄または過熟した粒を一粒ずつ人手によって選び取り仕込まれた、薫り高くフルーティーで味わい豊かなワイン。蜂蜜のような黄金色を帯びる。かつては薬として飲まれた。 | |
アウスレーゼ (Auslese) |
完熟した房だけを選んで摘み取り造られたフルボディのワイン。熟度の高さと香りが一段と増しているもの。 | |
シュペートレーゼ (Spätlese) |
遅摘みを意味する「シュペートレーゼ」の名が表すとおり、通常の収穫時期よりも遅い時点で収穫された完熟葡萄を使用して造られるワイン。そのため、熟度の高さとコクを持ち、まろやかで甘く、ボディも強め。 | |
カビネット (Kabinett) |
通常の摘み取り時期に収穫された、充分に熟した果実で造られるワイン。「Q.m.P」の中では、最も糖度が低いが、フレッシュさとフルーティさを持ち、繊細さでは随一。辛口(トロッケン)ないし中辛口(ハルプトロッケン)に仕立てられる。 | |
クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ (Quäitatswein bestimmter Aubaugebiete) |
「クヴァリテーツヴァイン」または「Q.b.A(クー・ベー・アー)」と呼ぶ。13のワイン生産地域(アンバウゲビート)のいずれかの単一地域で収穫された葡萄でのみ造られ、公的な検査に合格したワイン。葡萄品種や最低糖度が13の地域それぞれで規定されている。また、異なる生産地域のワインとのブレンドは認められない。補糖を行うことは認められている。 | |
ドイチャー・ランドヴァイン (Deutscher Landwein) |
いわゆる地酒。ドイツ国内を19地域に分類し、「ランドヴァイン地域」として指定したそれぞれの地域の特色を打ち出したワイン。 | |
ドイチャー・ターフェルヴァイン (Deutscher Tafelwein) |
いわゆるテーブルワイン。ドイツ国内で生産収穫された葡萄を原料として造られたワイン。 |
ドイツワインの辛口・甘口指標
等級の他に、糖度を示すキーワードが併記されることがあります。
甘口のイメージが強いドイツワインですが、新しく辛口ワインの等級カテゴリが設けられるなど、近年では辛口ワインのアピールに力を入れているそうです。
「クラシック」と「セレクション」は2000年ヴィンテージから導入された新しい表記で、従来の果汁糖度による等級ではQ.b.Aに属するクラスだそうです。
ちなみに、「ズース」や「リープリッヒ」が表記されることはほとんどないそう。
そして「ハルプトロッケン」などの味覚を表現する表記がない場合は、甘口であることが多いそうです。
ズース (Süß) |
甘口。残糖が1リットルあたり45g以上のものを指す。 |
リープリッヒ (Lieblich) |
まろやかな甘口。残糖が1リットルあたり18~44gのものを指す。 |
ファインヘルプ (Feinhelb) |
糖分を残し、甘さも少々感じられる半辛口。洗練された辛口というニュアンスの表現。残糖や総酸度の規定はなく、造り手の意図によってつけられる。 |
ハルプトロッケン (Halbtrocken) |
残糖が1リットルあたり18g以下の辛口ワイン。酸度により残糖分が明確に規定されている。 |
トロッケン (Trocken) |
残糖が1リットルあたり9g以下の極辛口ワイン。酸度によって残糖分が明確に規定されている。 |
クラシック (Classic) |
最低アルコール度数12%(モーゼルでは11.5%)以上で、残糖は総酸量の2倍までで最高でも1リットルあたり15gまで。さらに各産地の伝統的な品種を使用することと規定されている。エチケットには葡萄品種名とベライヒが記載可能。 |
セレクション (Selection) |
クラシックの上級にあたる辛口ワイン。最低アルコール度数12.2%以上で、残糖は1リットルあたり9gまで(リースリングによるワインのみ、残糖は総酸量の1.5倍までで最高でも1リットルあたり12gまで)。各産地の伝統的な品種を使用することと規定されており、なおかつ、収穫量は60hl/haまでで、収穫は手摘みに限定。エチケットには葡萄種と単一畑の表示が必須と規定されている。 |
ドイツ優良ワイン生産者組合による畑ごとの格付け
ドイツワイン法とは別に、ドイツ優良ワイン生産者組合(VDP)が畑ごとの甘口・辛口標章を2000年に新設しました。
フランスの「グランクリュ」や「ヴィラージュ」などと同様、畑自体に等級を定めるものでもあります。
また、下表には入っていませんが、ラインガウ地区独自辛口白ワイン「カルタヴァイン」やモーゼル地区甘口ワイン「ホッホゲヴェックス」などの独自カテゴリも存在するそうです。
グローセス・ゲヴェックス(Großes Gewächs) | 超1級畑認定の高級辛口ワイン。収穫量が50hl/ha以下、定められた品種を使用している、収穫が手摘みなどの厳しい基準をクリアする必要がある。 |
エアステス・ゲヴェックス(Erstes Gewächs) | VDPラインガウが1級畑と認定した高級辛口ワイン。 |
エーデルズス・スピッツェン | VDPラインガウが1級畑と認定した高級甘口ワイン。 |
エアステ・ラーゲ(Erste Lage) | VDPモーゼル=ザール=ルーヴァーが認めた1級畑の高級辛口及び甘口ワイン。 |
これらのほかに、2012年にはまた新たな格付け制度が制定されています。
グーツヴァイン (Gutswein) |
地域名ワイン。その地域において伝統的な葡萄品種を80%以上植えていることが必要。エチケットにはベライヒと葡萄品種名が表記可。甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。キャップシールにVDPロゴと「Gutswein」を記載。 |
オルツヴァイン (Ortswein) |
村名ワイン。その地域において伝統的な葡萄品種を80%以上植えていることが必要。エチケットには村名と葡萄品種名を表記可。甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。キャップシールまたはタスキに、VDPロゴと「Ortswein」の記載が必須。 |
グローセ・ラーゲ (Grosse Lage) |
特級畑ワイン。その地域において伝統的な葡萄品種を使用した高品質なワインであることが必要。栽培期間を通じてモニタリングが行われ、仕上がったワインも官能試験を通過しなければならない。エチケットには畑名と葡萄品種名が表記可。甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。キャップシールまたはタスキに、VDPロゴと「Grosse Lage」の記載が必須。 |
おすすめドイツワイン
とりあえずドイツワイン入門編としては、「ツェラー・シュヴァルツ・カッツ」や「リープフラウミルヒ(マドンナ)」がやはりオススメです。
それぞれ、複数のワイナリーが生産しているブランドですが、どのワイナリーのものも美味しくいただけます。
カビネットクラスでも美味しいですし、何より手に入りやすいので、まずはドイツワインの独特な味わいを試してみるのにぴったりです。
ただし、よく言われるように、とにかく甘いので、「シャブリのスッキリ辛口が好き!」「バローロみたいなどっしりした赤ワインが至高!」という方からすると微妙……かもしれません……。
実際、「マドンナ」は「パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド」ではけちょんけちょんですしね……。
また、「マリエンゴールド・ブルーボトル・ドイチャーターフェルヴァイン・NV」のように、ドイツ国内で消費されていたターフェルヴァインが最近はイオンなどでも購入できるケースが出てきました。
文字通りのテーブルワインとして、リーズナブルに楽しめるので、お見掛けの際は一度試してみてはいかがでしょうか。
それはそれとして。
「ツェラー・シュヴァルツ・カッツ・カビネット」などがお好みに合う場合は、ちょっと上の等級もぜひ試してみていただきたいです。
アウスレーゼクラスにもなると、本当に上品な甘さで「おっ」ってなります。
(これまた、逆に「甘すぎるからカビネットの方が好きかも」と言う方もいるんですけども……)
そして、さらにまたオススメしたいのが、「ピーロート・ブルー」。
こちらも、カビネットクラスでも十分美味しくいただけます。
ドイツワインがお気に召した方は、ぜひ一度お試しいただきたいです。
ただし、販売元のピーロート・ジャパンでは6本セット販売になってまして、手軽に購入しづらいのがネックかも。
でも美味しさは間違いないです!
しかも熟成可能らしいので、まとめ買いして寝かせながら長く楽しむことも可能です。
また、ドイツワインは白だけではありません。
赤ワインも美味しいですよ!
「ジャン・ストッデン・シュペートブルグンダー」。
上品でフレッシュ、ボディもしっかりとしてとても上質なワインです。
駄目代もまだまだドイツワインはお世辞にも詳しくありませんが、これからも勉強を兼ねてどんどんチャレンジしていきたいと思います!
ドイツワインに詳しい方、ぜひオススメを教えてくださいね♪
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