ワインNEWS
ワインに花のような香りを与える「リナロール」生合成を高める-メルシャン、ワイン技術研究所
[公開日]
[最終更新日]
メルシャン株式会社は、キリン株式会社のワイン技術研究所と共同で、ワインの重要な香り成分の一つ「リナロール」に関する新たな発見を発表した。
葡萄果実中に含まれるリナロールは、スズラン、ラベンダー、ベルガモットを思わせる芳香を持ち、ワインの香り、ひいては品質における重要な成分として知られている。
この度の発表では、葡萄でのリナロールの生合成において、果実への受光が必須であることが明らかにされた。
光を遮断するフィルムで葡萄果実を覆い、果実中のリナロール含量およびリナロール生合成に関わる遺伝子の発現量を調べる研究を実施した結果、果実の遮光によりリナロール生合成に関わる遺伝子発現およびリナロールの蓄積が著しく抑制されることが分かったという。
さらに、光を反射するマルチシートをリースリング種の畑に敷設して調査したところ、リナロール生合成に関わる遺伝子発現およびリナロールの蓄積の増加を確認した。
これらの実験結果から、葡萄果実中のリナロール生合成酵素遺伝子の発現が、果実への受光により誘導され、果実中のリナロールが蓄積することが分かった。
果実への受光量のコントロールが、ワイン生産における花のような香りをより一層引き出す技術となることが明らかになったと言える。
メルシャンは、この研究から得た知見に基づいて醸造した「シャトー・メルシャン 大森リースリング 2015」を2016年8月30日に発売した。
秋田県横手市大森地区で栽培された、リナロールを多く含むリースリング種の果実で造られたもの。
白い花や青リンゴを思わせる華やかな香りを豊かに含み、心地よい酸味とミネラル感がバランス良く広がる白ワインに仕上がっている。
なお、この研究成果に関しては、2016年8月5日に公益社団法人日本農芸化学会の英文誌(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)のオンライン版に掲載されている。
【発表の概要】
1.論文名
Effect of light exposure on linalool biosynthesis and accumulation in grape berries.
2.雑誌名
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
3.DOI番号
10.1080/09168451.2016.1217148
4.著者
佐々木佳菜子、高瀬秀樹、松山周平、小林弘憲、松尾弘則、生駒元、高田良二
[写真提供・協力] キリン株式会社
2017/08/09 キリン株式会社プレスリリース、
キリンホームページ メルシャン商品情報より引用。
[ワインデータベース]
シャトー・メルシャン・大森リースリング・2015
[関連記事]
メルシャン、マスカット・ベーリーAの香りを解明
「シャトー・メルシャン」シリーズ、秋田県・福島県・長野県・山梨県産の新ヴィンテージ発売
[関連ワイン]
シャトー・メルシャン・大森リースリング・2013
記事内の商品またはサービスに関する価格や消費税表記は記事公開当時のものです。
現在の価格と異なる、もしくは取り扱いが終了している可能性がありますのでご注意ください。
ワインは香りが非常に重要な要素となる飲み物。
香りを豊かにすることで、ワインの品質としても高評価を得られる可能性が高まるということで、日本ワインの今後にますます期待ですね♪
ちなみにリナロールは日本古来の樹木であるクロモジ(黒文字)に豊富に含まれていて、睡眠障害や鬱病の予防に効果が期待できるそうです。
てことは「シャトー・メルシャン 大森リースリング 2015」も鬱病の予防になる……?