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【追記あり】日欧EPA、ワイン関税撤廃に向けて調整
[公開日]
[最終更新日]
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉にて、日本のワイン関税撤廃に向けて最終調整に入ったことが2017年6月17日に分かった。
EUは即時撤廃を求めていたが、日本側の主張を受け入れ、数年をかけて段階的に引き下げて撤廃していく形で合意した。
日本では現在、欧州産のワインに対して輸入価格の15%もしくは1リットルあたり125円のどちらか安い方に関税を適用している。
関税が撤廃された場合、欧州産ワインは750mlで100円近く市場価格が低下する見込みだ。
フランスやイタリアをはじめとする欧州産ワインは日本国内で高い需要を保っている一方、2015年にはチリ産ワインがボトルワイン輸入量の1位になるなど、劣勢に追いやられてきた。
日本とチリの間で結ばれているEPAにより、チリ産ワインの関税が削減されていることが輸入量増加の大きな要因と分析されている。
2017年現在、チリ産ワインの関税は、輸入価格の2.3%または1リットルあたり125円のどちらか安い方が適用されており、欧州産ワインと比較し相当低い数値となっている。
さらに、チリ産およびオーストラリア産ワインはともに関税撤廃が予定されていることも、EU側の危機感を強めている。
日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)においても、発効8年目にワインの関税を撤廃する方針を固めており、EUとのEPA交渉においても撤廃に同意することにした。
ワイン市場の開放の点でEUに譲歩することにより、国内農家への影響が大きいとされるチーズの関税を守るカードとしたいという思惑があるとみられている。
2017/06/17 YOMIURI ONLINE、
2017/06/17 毎日新聞、
2017/06/18 東京新聞より引用。
[2017年06月22日追記]
日欧EPA交渉において、日本政府が国産ワインの輸出拡大に向けて非関税分野の規制緩和を求めていることが2017年6月21日に分かった。
緩和を求めている内容は、「輸出手続きの簡素化」「ワインボトルのサイズ規制の撤廃」「ブランド保護」の3項目。
「輸出手続きの簡素化」に関しては、EUが義務付けている証明書を取得しやすくできるよう求めている。
EUは輸出業者に対し、公的機関発行の「VI1 document」と呼ばれる証明書を添付することを義務付けている。
日本国内でこの証明書を発行しているのは独立行政法人酒類総合研究所のみとなっているため、輸出業者の負担が大きいという現状がある。
こうした負担を軽減するため、自己証明形式といった方式を提案している。
「ワインボトルのサイズ規制の撤廃」に関しては、720mlボトルの流通を可能にすることを求めている。
EUではワインボトルは750mlが標準であり、日本で一般的な720mlボトルは流通できず、輸出においては詰め替えが必要になっている。
日本国内に流通しているワインボトルをそのまま輸出できるようにする狙いだ。
「ブランド保護」では、地理的表示を保証する「GIマーク」の保護を求めている。
国税庁告示「地理的表示に関する表示基準」に基づくGI(Geographical Indication)が認められることで、日本の産地が独占的に地名をブランド名として使用できることになるため、ブランド強化にもつながる。
ワインでは、既に山梨が「GI山梨」を取得している。
2016年に日本がEUに輸出したワインは1万リットルほど。
一方、輸入量は1億180万リットルにのぼる。
葡萄栽培から醸造まで日本国内で行う「日本ワイン」の注目が高まっている中、北海道や東北でもワイン醸造が活性化している。
今回の交渉を機に、輸出も伸ばしていく狙いとみられる。
2017/06/21 東京新聞より引用。
[2018年07月25日追記]
安倍晋三首相と欧州連合(EU)のトゥスク大統領とユンケル欧州委員長は17日、首相官邸で日本とEUの経済連携協定(EPA)に署名した。2019年3月下旬までの発効を目指す。世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める自由貿易圏が誕生する。日欧で協調し、「自国優先」の通商政策を打ち出す米国への防波堤とする。
2018/07/17 日本経済新聞より引用。
関税に関しては、チーズは段階的引き下げを経て16年目に撤廃となる一方、ワインは即時撤廃の方向となったようです。
今後、EPAをきっかけとしてEUへの日本ワイン輸出も増加する可能性がありますが、そうなると国内の日本ワインがますます品薄になってしまうかもという諸刃の剣……日本ワインラヴァーにとっては受難の時代になるかも!?
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いよいよヨーロッパワインの関税にも動きが出る模様……!
消費者にとってはありがたい話ですね!
とはいえ、現状から100円ほど安価になったとしても、正直チリ産ワインのコスパに対抗しうるのか疑問ではあります……。
日本市場で需要を伸ばすのに何よりも必要なのは、元となる価格の低下かもしれませんね……。