おでかけワイン
【やってみた】オリジナルワインを造ってみました!「芸術のワイン Bordeaux white」にてアッサンブラージュを体験
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こんにちは、葡萄院駄目代です。
最近、ワインを飲む際に「どんな品種でできているワインかな?」とチェックするようになって参りました。
カベルネ・ソーヴィニヨン種60%、メルロー種35%、カベルネ・フラン種5%……といった、複数品種で造られたワインもよく見かけますよね。
それぞれの品種の特長をブレンドによって活かし、表現したい味わいを実現する「アッサンブラージュ」もワイン生産者の技術のひとつ。
今回、ボルドーワイン委員会主催のワークショップ「芸術のワイン Bordeaux white」にて、ボルドー辛口白ワインに関する知識を学びつつ、アッサンブラージュ実体験でオリジナルワインを造って参りました!
ボルドーというと赤ワインのイメージが強いですが、実は白ワインに関しても古い歴史を持つ土地です。
現在では、ボルドーの白ワインの生産割合は全体の11%ですが、1969年までは赤ワインよりも多く生産されていたのだそうです。
また、ボルドーと聞くと五大シャトーの名が挙がる場面が多いかもしれませんが、ボルドーのワイン生産者の大半は家族経営の小規模なシャトー。
豊富な種類の葡萄品種が栽培されており、シャトー独自のアッサンブラージュによるバリエーションに富んだワインが生産されることもボルドーワインの特徴のひとつです。
特に、白ワインにおいて複数の葡萄品種をブレンドする技術は、ボルドーの白ワイン造りの特徴でもあります。
「芸術のワイン Bordeaux white」では、ボルドー気鋭の若手ワイン生産者が招かれ、白ワインを構成する葡萄品種や醸造に関して解説していただきました。
左から、Pauline Dietrich(ポリーヌ・ディエトリッシュ)氏、Marc Milhade(マルク・ミラド)氏
ワイナリーの家系に生まれたマルク・ミラド氏は、400年以上もの歴史を持ちアンリ4世からも高い評価を得た記録もあるというChâteau Recougne(シャトー・ルクーニュ)など6つのシャトーを持つ若き生産者です。
樹齢50年以上の葡萄やエコな栽培技術、ボルドーでは珍しいカルメネール種も栽培しているという特徴のワイン造りで知られています。
ポリーヌ・ディエトリッシュ氏は、ビジネス・アナリストとしてのキャリアを重ねた後に醸造学をも修め、家族が経営するChâteau Haut-Rian(シャトー・オー・リアン)にて活躍中の女性ワイン醸造家。
シャトー・オリヴィエなどのボルドーの有名シャトーでも経験を積んでおり、生産するワインは数々のコンクールで賞を獲得しています。
いやあ、美男美女ですね~!
余談ですが、マルク氏による葡萄品種の解説では「この品種は、収穫時に実を食べると~」という表現をよく耳にしたのが若干気になりました。
マルク氏、収穫時につまみすぎ問題。
(生産者なら普通のことなのかもしれませんが)
ワークショップは、グループワークの形式で進められました。
まるで理科の実験のような器具類にワクワク。
今回、解説していただいた「ソーヴィニヨン・ブラン」「セミヨン」「ソーヴィニヨン・グリ」「ミュスカデル」から、ミュスカデルを除く3つの品種を使用してのアッサンブラージュです。
それぞれの品種のみで造られたワインが用意されており、まずはテイスティングして味わいの特徴をしっかりと確認。
……ど、どれもとっても美味しい……!
中でも、ソーヴィニヨン・グリ種100%のワインは大変珍しく、このテイスティングだけでも大変貴重な体験です。
ソーヴィニヨン・ブラン種のワインは、とてもフルーティかつ爽やか、柑橘類の香りや白い花の香りが豊かに感じられます。
セミヨン種のワインは、リンゴを思わせる甘い香りに、綺麗な酸味で清涼感のあるすっきりした味わいです。余韻が長いのも特徴。ちなみに、ポリーヌ氏お気に入りの品種だそうです。
ソーヴィニヨン・グリ種のワインは、オレンジピールなど柑橘系の香り豊かで、清涼感のある口当たりの後に、ミネラリーでまろやかな味わいがじわりと広がります。美しい複雑味と長い余韻も特徴。マルク氏によると、果実も柔らかで美味しいとのことです(笑)
3つ並べてみると、ワインの色合いにも違いがあるのがよくわかりますよね。
特にソーヴィニヨン・グリ種は果実が赤味を帯びているので、ロゼに近い色合いにもなりやすくもあり、白ワインとしては扱いが難しい品種なのだそうです。
それぞれのワインの特徴を把握した後は、いよいよアッサンブラージュ!
手始めに、各ワインを混合して味わいや香りの変化を確認する実験です。
今回のワークショップでの目的は『自分が飲んで美味しいワインを造る』。
アッサンブラージュにおけるコツを、マルク氏がレクチャーしてくださいました。
「”一番表現したいもの”は何かを意識すること。味わいか、ストラクチャーか……それによって使うワインの割合が決まってくるでしょう」
「一歩退いて、客観的に考えることが大切」
なるほど……と思いつつも、ワインの生産どころか飲み手としても初心者レベルの駄目代にはかなりハードル高い話……かもしれません……。
グラスと共に置かれていたピペットを使って、ワインを少しずつ採り、グラスに移します。
採ったワインを……
空のグラスに移します。
この実験ではグラス内のワインを使用したため深さがあまりなく、口でちょっとずつ吸い取りました。あくまでも実験段階なので!
しかも、ちゃんとピペットの吸い口部分はフィルターがついているので安心です。
余談ですが、調子に乗って試飲していた駄目代はこの時点で実験用のワインの残量があまりなく、ちょっと泣きました。
なお、ボルドーの辛口白ワインの主流となっているのは、ソーヴィニヨン・ブラン種主体のアッサンブラージュだそうです。
駄目代も、今回の実験ではソーヴィニヨン・ブラン種のワインが一番好みでしたので、最初はソーヴィニヨン・ブラン種主体でのアッサンブラージュを試してみました。
残り少なかったワインをがんばって分けて、2回実験してみました!
≪1回目≫
ソーヴィニヨン・ブラン … 40%
セミヨン … 40%
ソーヴィニヨン・グリ … 20%
爽やかな中に甘味をしっかりと感じる味わいに、すっきりとしつつも長い後味。
柑橘類の香りが強め。
≪2回目≫
ソーヴィニヨン・ブラン … 50%
セミヨン … 20%
ソーヴィニヨン・グリ … 30%
甘味を伴ったまろやかな味わい。余韻も長く続く。
実験で造ったのはグラスに1/3程度の量でしたが、それでも違いを結構体感できました……!
実際に体験してみると、ワイン造りを例える際によく言われる「生産者はオーケストラの指揮者のような存在」という言葉はとても的を射ているなあと思いました。
アッサンブラージュの効果を体感した後は、300mlほどのブレンドワインを造らせていただきました。
最後はピペットは使用せず、ビーカーでワインを測りながらのアッサンブラージュです。
実験で「ソーヴィニヨン・グリの割合が増えるとまろやか感が増して好きだなぁ……」と感じたので、最後は思い切って3種を均等に使用してみました。
そして、用意していただいたボトルに詰めて、ラベルを貼って……
オリジナルワイン「みんなのワインブレンド」が完成!
会場内でほんのちょっとだけ味見してみましたが、丸みのある柔らかな味わいがふわっと広がった後にスッと消えて、優しさと清涼感のある飲み心地に仕上がっていました。
さてさて、このワインを実際に「みんなのワイン」編集部の皆様に試飲していただきました!
爽やかで美味しい!
飲みやすいすっきりした味♪ 好きかも~
編集長にも「すごく美味しいね!本当は生産者の人が造ってくれたブレンドなんじゃないの?」と駄目代に対する人物評価丸出しなご感想をいただけました。
宿題をお母さんに手伝ってもらった小学生かよ。
……確かに、ド素人が造ったブレンドとは思えないくらい美味しかったので、プロの仕事と疑われても仕方ないかもしれません……。
でもぶっちゃけ、素となったワインそのものが全部とっても美味しかったので、どんな割合でブレンドしても美味しくなっていたんじゃないかな~という気は致します……。
ワークショップの目的も、『”自分が飲んで”美味しいワインを造る』でしたしね。
結果的には、駄目代だけでなく編集部にとっても美味しいワインを造ることができたので、大成功でした!
マルク氏のお話では、実際のアッサンブラージュでは50種類以上のワインを使用してブレンドをテストしていくのだそうです。
3種類でもかなりバリエーションに幅が出たのに、50種類以上……!気が遠くなる作業ですね。
テイスティングを繰り返し行ううちにだんだんと視野が狭まってしまいがちなので、客観的な視点を保つためにも飲み手の意見を聞く機会は貴重とのお話でした。
それを伺って「パリコレの出品作品が芸術的に進化しすぎて一般人に理解できない領域に達してるような感じにワイン造りでもなっちゃうのかな……」と思いました。
今回の「芸術のワイン Bordeaux white」では、本当に貴重な体験をさせていただきました!
ワイン造りのひとつの工程を体験させていただいたことで、ワインを大切に味わいたいという気持ちを今まで以上に強く感じるようになりました。
本当に、たくさんの人々の想いや時間、手間がワインに込められているのだなあ……と感じます。
また、イベント後に試飲させていただいたマルク・ミラド氏とポリーヌ・ディエトリッシュ氏のワインも、とっても美味しかったです。
シャトー・ルクーニュの「ボルドー・ブラン・2016」。
柑橘類の豊かな香りに、すっきりしつつも深みのある味わいです。
キレの良さもあり、幅広いお料理と合わせやすそうなワイン。
シャトー・オー・リアンの「アントル・ドゥ・メール・2016」。
爽やかな甘味のあるフルーティさで、さっぱり・すっきりとしてキレの良い味わいです。
豊かな果実味は、ワイン初心者にも親しみやすい優しさを湛えています。
どちらもまだ日本では一般販売されていませんが、「アントル・ドゥ・メール・2016」は近い将来、購入できるようになるとのこと。
価格帯もテーブルワインクラスとのことで、リーズナブル!
とってもコストパフォーマンスの良いワインでした。
ボルドーワインと言うと高価なイメージも持たれがちですが、とてもリーズナブルなワインもたくさん。
また、伝統的なワインだけでなく、特に近年は革新的なワインも増えているそうです。
日本で展開中のキャンペーン「バリュー・ボルドー」でも、リーズナブルで美味しいワインがたくさん紹介されています。
「バリュー・ボルドー」に選ばれている銘柄には、スーパーなどで扱われていて入手しやすいものもありますので、お見掛けの際に試してみてはいかがでしょうか?
[協力] ボルドーワイン委員会
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