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日本酒酵母が叶えた超低温発酵ワイン『ぎんの雫 Goutte d’Argent』
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チリのワイナリーから、日本酒酵母を使用した超低温発酵ワイン『ぎんの雫 Goutte d’Argent』リリース
「獺祭」の旭酒造や「神の雫」原作の樹林氏などの協力で生まれたアロマティックな白ワイン
「超低温発酵白ワインを」……一人のワイン醸造家が抱いた夢が実現しました。
2019年6月に発売された『ぎんの雫 Goutte d’Argent』は、チリでワイナリー「VINA MARTY」を営む醸造家パスカル・マーティ氏が長年抱いた夢を日本酒酵母の力を用いて実現した、超低温発酵ワイン。
日本酒酵母を用いたワインは今までにも例がありますが、このワインが生まれた経緯は少々ユニークです。
薫り高く柔らかな味わいを持つ、日本酒とワインのハイブリッド。
バロン・フィリップ・ド・ロッチルド社で経験を積んだ名醸造家が、世界にも愛される日本酒「獺祭」の旭酒造とフランスの芸術文化勲章を受けた「神の雫」原作者の協力のもとに誕生させた、夢の結晶です。
『ぎんの雫 Goutte d’Argent』誕生のきっかけは”超低温醸造への挑戦”という夢
ボルドー大学で醸造を学んだマーティ氏は、「白ワインはできる限り低温で発酵させること」「発酵の下限温度は酵母が活動できる12℃」という、ワイン造りにおける定説に挑戦したいという気持ちを長年抱いていたそうです。
発酵温度が高くなることで、白ワインの魅力であるアロマは揮発しやすくなってしまう一方、ワインで使用される酵母は低温発酵に適応していないことから、12℃を下回る低温での発酵への挑戦は不可能と思われていました。
ボルドー大学を卒業したマーティ氏は、バロン・フィリップ・ド・ロッチルド社にて「オーパス・ワン」の立ち上げに関わった後、チリの「アルマヴィーヴァ」のコー・ジェネラル・マネージャー兼醸造家として就任するという華やかな経歴を重ね、その後は自らの名を冠したワイナリー「VINA MARTY」を立ち上げました。
「VINA MARTY」のワインが日本にも輸出されることになった関係から、定期的に日本を訪れるようになったマーティ氏。
そこで出会った大吟醸や生酒などの、日本国外では非常に珍しいハイクラスの日本酒に、マーティ氏は非常に驚き、また心躍らせたそうです。
ワインと同じ醸造酒であるにも関わらず様々な要素のアロマを持ち、しかも高いアルコール度数も保持している日本酒に興味を惹かれ、その作り方を詳しく聴き込むにつれ、かつて抱いたマーティ氏の夢に現実性が生まれました。
特に、日本酒の吟醸造りには、発酵温度5℃以下で進む段階があるという話は、ワインの超低温発酵を実現する大きな鍵と思われました。
その後、日本酒造りを熱心に学び始めたマーティ氏は、「獺祭」で有名な旭酒造の桜井博志社長(現在は会長職)からの協力を得て日本酒酵母を用いたワインの超低温醸造のプランを練りあげ、またワインを製品化するにあたり酵母の供給を安定化するために、日本国外在住の外国人として初めての日本醸造協会への入会という難関も乗り越えました。
ソーヴィニヨン・ブランが真澄酵母との出会いで見せた新しい一面
マーティ氏が日本酒と出会ってから7年の期間を経て始まった、「真澄酵母」と呼ばれる「きょうかい7号酵母」を用いた超低温醸造は、アロマだけでなく味わいにも、かつてない変化をワインにもたらしました。
使用した葡萄はソーヴィニヨン・ブラン種で、スッキリした辛口になることが多い品種にも関わらず、ボリューム感とクリーミーさ、また日本酒の質感も併せ持った味わいに仕上がったのです。
完成直後、名前もラベルも無い状態のサンプルボトルをチリのワイン評価誌「Descorchados」に出品したところ、94点というハイスコアを獲得。
マーティ氏が長年夢見た超低温醸造ワインは、ただの”変わり種ワイン”に終わることなく、ワインの世界観を拡げる画期的な存在として認められたと言えます。
『ぎんの雫 Goutte d’Argent』命名は『神の雫』原作者・亜樹直氏
完成したワインは、日本のみならず海外にもワインブームを巻き起こした漫画『神の雫』原作者である亜樹直氏が、名称やラベルデザインのコンセプト立案に協力。
亜樹直氏のテイスティングの際に浮かんだイメージをしたためた一編の詩がイメージソースとなり、ワイン名とラベルデザインが完成しました。
あれは、白鷺だったのか。
名も知らぬ異国の
鳥だったのだろうか。
追憶の中のふるさと。
さざ波が放つ銀の光から
しぶきをあげて飛び立つ
いくつもの白い翼。
あとを追うように
銀白の羽根が
花びらのように舞い落ちる。
そして私はひとり、
静寂に佇む――。
掌(たなごころ)には
ひと雫のぎんのかけら。
これは、『吟』が生み出した
銀色のひと雫である。
[出典:ワインショップソムリエ]亜樹直氏が『ぎんの雫』に寄せた詩
“Goutte d’Argent”は、「銀の雫」を意味するフランス語。
日本語である「ぎんの雫」は、吟醸の「吟(ぎん)」の意味、またテイスティング時の詩に描かれた銀世界のイメージの2つを含んだワイン名なのだそうです。
また、2019年現在連載中の『マリアージュ~神の雫最終章~』にも、『ぎんの雫 Goutte d’Argent』が登場しており、主人公である神咲雫のテイスティングコメントとして味わいの表現を楽しむことができます。
また、亜樹直氏の『ぎんの雫 Goutte d’Argent』のテイスティングコメント、ラベルデザインの解説や誕生にまつわるストーリーは、下記の公式ブランドサイトに詳しく掲載されています。
■『ぎんの雫 Goutte d’Argent』ブランドサイト
http://www.21cc.co.jp/ginnoshizuku/
『ぎんの雫 Goutte d’Argent』はネットで購入可能
『ぎんの雫 Goutte d’Argent』のファーストヴィンテージは、誕生のきっかけとなった日本でのみ販売されるとのこと。
輸入元である株式会社トゥエンティーワンコミュニティのECサイト「ワインショップソムリエ」でも購入可能です。
■ワインショップソムリエ 『ぎんの雫 Goutte d’Argent』
https://wsommelier.com/category/2032/
2019/06/04 株式会社トゥエンティーワンコミュニティ プレスリリース、『ぎんの雫 Goutte d’Argent』ブランドサイト、ワインショップソムリエより引用。
マリアージュ~神の雫 最終章~(20) (モーニング KC)
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