ワインNEWS
「ゼオライト膜」でワインのうまみ成分をアップする新技術開発
[公開日]
[最終更新日]
ワインの「うまみ」を濃縮する新しい技術を、日本企業が開発中だ。
三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学が開発した「ゼオライト膜」をワイン作りに活用するというのがその内訳だ。
もともと「ゼオライト膜」は、工業用アルコール向けのリサイクル技術で使用されていた。
ゼオライトとは、シリカと酸化アルミニウムを主成分とし、表面に直径0.4ナノメートルの微細な孔が均質にあいた物質。
これをフィルタとして使用し、水分を除去する仕組みが「ゼオライト膜」だ。
「ゼオライト膜にあいた穴を活用すれば、分子の大小によって、ふるいをかけることができる。この原理を応用すればワインにも生かせると考えた」と、三菱化学ゼオライト膜グループの垣内博行グループマネジャーは説明する。
ワイン向けとして、一般的なゼオライトに比べて酸化アルミニウムの比率を下げることで耐酸性や耐水性を向上させた「ゼオライト膜」をドイツの大学との共同研究で作り出した。
「ゼオライト膜」が据えつけられたタンクの中に葡萄果汁を入れると、水分を取り除きつつ、葡萄のエキスやうまみ成分を残して凝縮させることが可能になるという。
ドイツやフランスでは、アルコール度数を上げるために、葡萄果汁に糖分を加える「補糖」と呼ばれる工程を経てからワインを醸造するケースがある。
そのような場合でも、三菱化学の「ゼオライト膜」を使用すれば、補糖しなくてもワインを醸造できるようになり、葡萄本来の素材を生かしやすくなる。
2014年に収穫した葡萄で実験したところ、「ゼオライト膜」を使用したワインでは、葡萄の風味を出すエキス成分が、補糖しないワインと比較して7%高かった。
うまみ成分であるグリセリンも、2割増やすことができた。
さらに、アルコール度数を高めることも可能だ。
三菱化学では、2015年度中にうまみ凝縮の技術を確立し、ワインを加工処理する事業者向けに1~2年後に販売をスタートさせる考えだ。
日本や欧州、米国やニュージーランド向けに展開する予定。
2015/5/25 日経産業新聞より引用。
[関連記事]
「三菱商事、福島にてワイン醸造所を建設-復興支援の一環として」
記事内の商品またはサービスに関する価格や消費税表記は記事公開当時のものです。
現在の価格と異なる、もしくは取り扱いが終了している可能性がありますのでご注意ください。
三菱といえば、以前も「三菱商事、福島にてワイン醸造所を建設-復興支援の一環として」という記事を取り上げましたが、ワイン事業に切り込んでいる印象です。
個人的に、ナノ素材などのキーワードに滅法弱いので、こうしたニュースは思わず心躍ります。
ナノテク、どんどん発展してほしいですね~。