知ってる?ワイン話
【月の港に続く道 第2回】実は似ている、ワインとコスメ~ワインLOVERのストレッチ~
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『「ビズ・ワイン」革命始まる』著者の今西正典氏による、生涯続くワインライフを楽しむためのスペシャルコラム『月の港に続く道』第2回。
今回は、ワインの嗜好性にスポットがあたります。
「月の港」ボルドーへ続く道を、楽しみながら歩いてみましょう。
第2回 ワインとコスメ~ワインLOVERのストレッチ~
ワインとコスメは、選ばれ方がよく似ている
現在、日本で入手可能なワインは恐らく数千種類に及びます。
生産者もLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) のように年間数百万本生産する巨大メーカーから、千本程度しか作れないガレージワイナリーまで千差万別です。
しかし、そのそれぞれに個性があり顧客がついています。
市場が成熟していくと供給メーカーの淘汰が始まり寡占化がすすむのが世の常ですが、ワイン産業では様々な規模の生産者が共存しています。
この状況は、化粧品産業に非常によく似ています。
日本だけでも2万社以上の化粧品メーカーがあります。
資生堂、花王という大きなシェアを持つ企業も存在しますが、市場は多種多様な中小ブランドで溢れています。
ワインを選ぶ感覚は、お気に入りのコスメを選ぶ感覚と同じと思うとしっくりくるかもしれません。
コスメもワインも品質や価値を消費者に伝えるのが難しい商品です。
Eコマースより対面販売、広告よりもワイン会やブログ、レストランから入手する情報が重要になります。
そして、実際に飲んでみて徐々にお気に入りが決まってきます。
コスメも自然派がトレンドになったり、大手ブランドの高級品が万人の肌に合うわけでもないところもワインに通じるものがあります。
ワイン選びについては、身の回りの色々なチャネルから情報収集しつつ、最後は自分たちで飲んだ感覚を大切にして、お気に入りのワインリストを作っていってください。
産地の気候が鍵!産地でわかるワインの傾向
ワイン選択の幅を広げるうえで、できれば早い段階から知っていてほしいワインの特徴があります。
ワインの原料であるブドウは農作物なので、育った産地の気候風土が味や風味に影響します。
一般的に寒い国のワインは酸味が強く、温かい国のワインは酸味が低く果実味が豊かになります。
ワインの世界でオールドワールドと呼ばれる国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル)はドイツ、フランス以下緯度の高い寒い国になります。
一方、ニューワールドと位置づけられる国(アメリカ、オーストラリア、チリ、ニュジーランド、南アフリカ等)はブドウが良く熟す暖かい国と分類されます。
たとえ同じブドウ品種のワインであっても、オールドワールド産はキリッと酸が効いていて、ニューワールド産は熟れたフルーツの香り高い、ボリューム感のあるワインであることが多くなります。
自分の好きなワインを選ぶこと、それはワインLOVERとして大切な自己表現
今、ワイナリーも化粧品メーカーと同様、自社ワインの特長を最大限に生かして、顧客ターゲットを絞り込んででもブランド化しようとしのぎを削ってます。
逆にターゲットを最大限に広げようとすると特徴のない可もなく不可もないワインになってしまう傾向があります。
安旨のコンビニワインがまさにこれに相当します。
私たちが質の高いデイリーワインを飲めるのは、大量生産大量消費を前提とした大資本と流通、マス・マーケティングの恩恵です。
近年デイリーワインが進化したことは、間違いなく私たちの生活を豊かにしました。
しかしながら、特別な日に、特別な人と一緒に飲みたい、特別なワインを見つけることは、ワイン本来の楽しみ方です。
チャーミングなワインと出会い、ワインの個性とフードとの相性を考え、ワインを楽しむ舞台をイメージする準備のプロセスは、特別な日のメイクアップと同様に心が弾む瞬間になるでしょう。
ワイン選びやマリア―ジュの試みはワインLOVERの大切な自己表現です。
今日もワインに関するよもやま話をしながら、月の港に続く道を歩むことにしましょう。
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MBA経営学修士でありアジア各地にて貿易事業を展開するビジネスパーソン。
WSET LEVEL 3 AWARD IN WINES、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、J.S.Aワイン検定講師の資格を持ち、ワインをビジネスに活用する「ビズ・ワイン」を提唱。
著書に『「ビズ・ワイン」革命始まる』を持つ。