知ってる?ワイン話
【月の港に続く道 第5回】粋な遊び心も大切に…ワインのLEON的展開~ワイン・オシャレ考~
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『「ビズ・ワイン」革命始まる』著者の今西正典氏による、生涯続くワインライフを楽しむためのスペシャルコラム『月の港に続く道』第5回。
今回は、ファッション誌「LEON」が提示する粋な遊び心をヒントに、ワインライフを充実させるひと工夫について考えます。
時にはあえて正統派からはずれてみる冒険心が、ワインライフを、ひいては人生を豊かに彩るのではないでしょうか?
「月の港」ボルドーへ続く道を、楽しみながら歩いてみましょう。
第5回 ワインのLEON的展開~ワイン・オシャレ考~
ワインの楽しみ方にも生かせる、ファッション誌「LEON」に学ぶこだわりや冒険心
「ちょいワルオヤジ」のキャッチで一世風靡した雑誌「LEON」は、創刊以来20年を経た今でも中年男子のオシャレバイブルとして君臨しています。
中年代のビジネスマンの社会的地位や収入は、20代をスタートとする数十年間の競争社会を通してかなりの個人差が生じています。
子供の手が離れる年代になるに至っては、出世レースという側面では勝負がついた感もあるでしょう。
しかし、生活のオシャレ観、幸福観は必ずしも地位や収入と比例するものではありません。
LEONの功績は、オシャレの源泉はラグジュアリーな生活であるにせよ、ラグジュアリーを構成する要素は高額な製品の組み合わせではなく、こだわりや冒険心といったマニアックな価値観にあると主張しつづけていることにあります。
エグゼクティブにとって、バブル期のようにミシュラン星のビストロやリストランテでブルゴーニュやボルドーのグラン・クリュをオーダーしたり、夜の銀座でオーパス・ワンやドンペリを開けたりするお決まりの大名消費が憧れとされてきたかもしれません。
しかしながら、今のオシャレにはもう少し知識と遊び心が必要です。
ちょっとヤンチャにワインを楽しむ遊び心
私は忘れた頃にふと温泉に行きたくなることがあります。
その際は、フルートグラスとシャンパーニュを持参して個室露天風呂で澄んだ星空に乾杯します。
真夜中の露天風呂で飲むシャンパーニュは、都会のクラブで飲むクリュッグである必要はありません。
リーゾナブルかつ挑発的な銘柄を選べる知識は身につけています。
また、真夏には行きつけのBARにソーテルヌを持込み、仲間とかき氷の貴腐ワイン(高級甘口ワイン)掛けを楽しんだりもします。
両方とも、そんなにお金のかかることではありませんが、特別な時間を過ごせた気分になります。
コンサバのワイン通からは愚行にも思われるかもしれませんが、決してお金で買えない・メニューにないワインの楽しみ方を仲間や家族と共有することも、人生を有意義にすると個人的には確信しています。
たまには失敗もしますが、それとて人に迷惑をかけるものでもなく、いい思い出になります。
ワインライフをキャッチーに手ほどきするメディアが待たれる時代に
ワインは有名絵画のような普遍的な資産価値をもった高級品から新興生産国の未知の地場品種、ラベルやボトルデザインに特徴のあるものなど、様々なカテゴリーに区分できます。
そのような百花繚乱のワインは、使い方によって料理のみならず、飲む人のライフスタイルまでもオシャレにマリアージュします。
ワインのプロモーションには、パーカーポイントの点数やどこかの金賞受賞などの評価がキャプションとなっていることがほとんどですが、もう少しそのワインの個性や映えるシチュエーションについてのヒントをビジュアルやリアルで訴求してほしいものだと感じます。
ワインにとっての「LEON」のようなメディアが今必要とされています。
アパレルファッションや時計、アクセサリー、車などファッション雑誌のファクターであった対象のカテゴリーに、ワインライフが加わるべき時代を迎えています。
私もそのようなユーザー目線で、トレンドに目を配りながら執筆活動を継続していこうと考えています。
今日もワインに関するよもやま話をしながら、月の港に続く道を歩むことにしましょう。
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MBA経営学修士でありアジア各地にて貿易事業を展開するビジネスパーソン。
WSET LEVEL 3 AWARD IN WINES、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、J.S.Aワイン検定講師の資格を持ち、ワインをビジネスに活用する「ビズ・ワイン」を提唱。
著書に『「ビズ・ワイン」革命始まる』を持つ。