おうちでワイン
年代物のヴィンテージワインを飲んでみた!…ただし、熟成向きじゃないワイン。一体どんな味わいに!?
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年代物のヴィンテージワイン、1979年産「ブラックタワー」を飲んでみました!
ドイツのテーブルワインは43年の時を経てどう変化したのか!?
「ヴィンテージワイン」と言われる年代物のワインについて、ワインに詳しくはない方でも、耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
古い年代のヴィンテージワインは、その希少性に加えて、長い年月を経ていることから、ロマンあふれる存在と言えます。
20歳を迎えた日に、生まれた年のワインを開封する……なんて、とってもロマンチックですよね。
「みんなのワイン」編集部も、『いつか古~いヴィンテージのワインを飲んでみたい!』という夢を持っておりましたが、今の自分たちの身の丈には合わないと、夢は夢として、憧れのままにとどめておりました。
そんなある日、編集長が「1979年産のワインが手に入ったよ」と、なんと43年前のヴィンテージワインを提供してくれました!
ヤフオクで1円で落札したワインを。
調べてみると、ドイツ産白ワイン「ブラックタワー」でした。
現在も世界各国で販売されている、甘口のテーブルワインです。
……これは、果たして美味しくいただけるものなのでしょうか……?
「みんなのワイン」編集部が、ワイン愛好家のゲストを招き、この43年前のワインを開封してみました!
年代物のヴィンテージワインはなぜ高額? どんなワインも長期熟成すれば美味しくなるというわけではない!?
古い年代に造られたヴィンテージワインには数百万円もする品もあったり、造られたばかりのワインを購入して自宅のセラーで長年熟成させたりと、ヴィンテージワインには「貴重で高価」「資産にゆとりのある人の趣味」といったイメージが伴うかもしれません。
また、購入にあたっては、生産された年や地域、生産者についての知識による目利きも必要となり、ワインの世界の中でもひときわ奥深いジャンルと言えます。
年数を経たヴィンテージワインが高額になる理由のひとつに、長期熟成したワインだけが持つ美味しさがあります。
適切な環境で、長い時間をかけてゆっくりと熟成されたワインには、若いワインにはない深みやまろやかさが生まれます。
その味わいに魅せられて、ディープなワイン愛好家は、高額なヴィンテージワインを求めるのです。
しかし、どんなワインも長く寝かせれば美味しくなるかというと、そうではありません。
ワインには、若いうちに飲んだ方が美味しいタイプと、長期熟成させた方が美味しくなるタイプが存在します。
使用する葡萄品種の特性や醸造方法によって、美味しくなる熟成期間に違いが出てきます。
例えば、ボジョレー・ヌーヴォーのワインは、基本的に若飲みタイプで、長期熟成には不向きとされています。
白ワインも、長期熟成が可能なものはかなり少なく、限られています。
さらに、長期熟成に向いたワインでも、適切な環境で保管しないと、美味しく熟成されないこともあります。
ワインの保管にワインセラーが必要な理由は、温度や湿度など、ワインを健康に熟成させる環境を保つためなんです。
こうした観点から見ると、今回の1979年産「ブラックタワー」は、もともと長期熟成向きワインではなさそうなところに加え、保管状態も不明なため、その風味は予測不能です。
酸化しているとしても、いったいどんな味わいになっているのか、そもそも飲むことができるのか……おそらく、出品者の方にもわからない状態だと思われます。
1979年産「ブラックタワー」を開封してみた
現代の「ブラックタワー」と1979年産のものは、ボトルの形状こそ同様ですが、デザインには大きな違いがありますね。
ちなみに、この特徴的なボトルは、ローマ時代にワイン造りが伝えられて以降のドイツで何世紀にもわたって使用されてきた「クロック・ボトル」と呼ばれる陶器瓶を模したものなのだそうです。
1979年産のボトルは陶器の雰囲気を残していますが、現代のボトルには透明なガラス部分もあり、モダンなデザインになっていますね。
裏面ラベルを読むと、ワインについての説明が。
なるほど、エチケットにも書かれている通り、ボトルの中味は「Liebfraumilch(リープフラウミルヒ)」なんですね。
それにしても説明書きの始めの「普通のワインとお考えですか?」という問いかけに対する、ブラックタワーの独自性を説明する文章がないのがすごく気になります。
普通のワインじゃないところをもう少し説明してほしかった。
ボトルの封は比較的綺麗で、きちんと包装されていました。
しかし、コルクの状態はやはり素人の手に負えるものではありませんでした……。
ソムリエの方が年代物ワインを開封する苦労について語っておられたのを聞いたことがあるのですが、聞いていた以上に難しいものでした。
もしご自宅で年代物ヴィンテージワインを開封するなら、こちらのような専用のワインオープナーを用意しておくことをお勧めします。
我々は普通のワインオープナーで開封してしまったため、崩れたコルクが大量に瓶の中にも落ちてしまいました。
茶こしを使って注ぎましたが、ちょっと不安になっちゃいますよね……。
グラスに注いだワインを見て、一同に驚きの声が上がりました。
元はクリアな淡いイエローのワインだったとは思えない、濁りのある琥珀色です。
パッと見たところでは、赤ワインと言われても信じるかもしれません。
粘度も、ブランデーなどを連想します。
香りは、薬草や干したハーブなどがイメージされます。
口に含むと、やや強めの酸味が印象的。
甘味はほとんどなく、沖縄の「古酒」にも通ずるような独特のコクのような風味が感じられます。
今回お招きしたワイン愛好家の方々をはじめとしたテイスティングコメントをご紹介させていただきます。
【テイスター:A様】
少し、養命酒のような風味が感じられて、独特な味わいです。
酸味がありますね。
【テイスター:B様】
決して不味くはありません。
こういうワインも、面白いです。
【テイスター:葡萄院蛇子】
う~ん、酸味が強い!
白ワインの味わいとも違う、別のお酒になったみたいな感じがしますね。
【テイスター:葡萄院駄目代】
意外と好きかも。
養命酒っぽさ、確かに感じます!
ただ、アルコールをほとんど感じないし、ちょっと「枯れた」感じがしますね……これが酸化したワインの味というものなのかしら。
A様のおっしゃる「養命酒のような風味」は、葡萄院駄目代も感じました。
なんというか、干したハーブを漬け込んだような雰囲気がありました。
また、B様がおっしゃるとおり、決して不味い訳ではなく、「こういう風味」として楽しむこともアリな味わいというのも驚きでした。
ワインは飲み頃が大切
今回は、熟成向きではないワインが年月を経るとどうなるかを確認することができました。
覚悟していたよりもずっと美味しくいただくことができましたが、ただ、全体的には、どこか枯れた雰囲気があり、美味しさのピークを逃したワインという印象はありました。
ワインの飲み頃というものについて体感できたかもしれません。
とはいえ、この1979年産「ブラックタワー」がどのように保管されていたのかがわからないため、場合によってはまったく違う味に変化していた可能性も否めません。
ちなみに、長期熟成タイプのワインにも、飲み頃はあるんです。
寝かせれば寝かせるほど美味しくなるというのは間違い。
せっかく良いワインを熟成させていても、熟成させすぎて美味しさのピークを逃してしまうということもあり得ますので、飲み頃はしっかり確認しておきたいところです。
長期熟成タイプのワインを購入する場合、ソムリエさんやワインショップのスタッフさんに飲み頃についても相談することをお勧め致します。
いつか、【長期熟成タイプのワインを】【適切な環境で保管した】ワインも飲んでみたい。
よろしくお願いします、編集長!
※本ワインの飲用は自己責任で行っています。ワインの保存状態が不明で、飲用に即しているか判断できない場合は、食中毒のおそれもあるためご注意ください。
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