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【調べてみた】ワインの最難関資格「マスター・オブ・ワイン」
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ワインの最高峰資格「マスター・オブ・ワイン」とは!? 取得までのハードルは果てしなく高い最難関資格
こんにちは、葡萄院駄目代です。
皆様は、資格を何かお持ちですか?
駄目代は運転免許も持っていません。
去る2015年9月に、日本在住の日本人で初になる「マスター・オブ・ワイン」が生まれたニュースが報じられました。
有資格者は全世界でも340名(2015年時点)という、ワインの世界で最難関資格と言われるこの「マスター・オブ・ワイン」。
有資格者は、名前の最後に「MW」と付けることが許されるほか、ワイン業界に対し大きな発言力を持ち、あらゆるワイナリーへのパスポートを得る特別なクラブのメンバーに入会できるそうです。すごい。
上司から
「駄目代さん、これ目指してみてよ」
というものすごい無茶振りがありましたため、遅ればせながら少し突っ込んで調べてみました。
いや、無理に決まってんだろとは思いましたけどね。
ソムリエはもちろんワインエキスパートも受かる気がしない。
(というかソムリエはそもそも受験資格すらない)
「マスター・オブ・ワイン」試験の内容とは
まず、試験の内容。
資格取得には、ワイン論・実技・論文から成る3つの試験にパスする必要があるそうです。
ワイン論では栽培・醸造・ワインビジネス・現代のワイン市場における問題に関する筆記試験。
論文は、ワイン市場に関するテーマで1万文字分を提出。
そして実技では、12銘柄のワインを3セット分もブラインド・テイスティングするそうです。
またこのブラインド・テイスティングがとても厳しいそうで、伝統的なワイン産地はもちろん、ニューワールドのワインもカバーする必要があり、しかも品種やテイストに関する内容だけでなく商業的な位置づけまでを正確に回答しなければならないそうで……知識と経験を満遍なく要求されますね……。
さらに、試験自体は、筆記(ワイン論)と実技とで最短でも1週間ほどかかるのだそうです。
また、前述の2試験を最短でパスしたとしても、論文でまた1年ほどかかるとのこと。
しかも、受験を開始してから4年間に3回の受験チャンスがありますが、その期間内に合格しないと、その後3年間は除名されてしまうという厳しさ。
これだけでも難しそうだなあ、ワイン業界の中で現役で活躍している人でないとまず無理だろうな~とうっすら思ったのですが、まだまだ認識が甘かった。
本試験を受験する資格を得るのがまた一苦労の模様。
「Wine & Spirit Education Trust(以下、WSET®)」というイギリスのワインアカデミーにて、4段階ある資格のうち最高位の「Diploma(ディプロマ)」を取得しなければならないのです。
WSET®のコースと認定試験を受けることができるのは日本国内でも3校ほどで、その中でもディプロマを受験できるのはたった1校だそうで。
そしてまた、ディプロマを取得した後には、マスター・オブ・ワイン協会が世界の3箇所で開催するマスター・オブ・ワイン受験のための合宿セミナーに2年連続で参加する必要があるそうです。
またこのセミナーにも入試があり、合格しないと参加を拒否されるとのこと。
2年目に参加するには昇格試験もあるそうで、ということは当然、ここから先に進めない場合もあるんですよね……。
最短でも5年が必要な「マスター・オブ・ワイン」、初の日本在住の資格取得者は10年にわたる挑戦
整理すると、
WSET®でディプロマ資格を得る
↓
マスター・オブ・ワイン協会の合宿に2年連続参加
↓
マスター・オブ・ワイン試験(最短でも2年)
ということで、最短でも5年はかかる訳ですね。
しかもね、当然ですけど、全部英語。
そもそも英語できないとどうしようもない。
……マスター・オブ・ワインへの道のりは果てしなく遠い……。
冒頭で述べた、初の日本在住のマスター・オブ・ワイン取得者となった大橋健一氏(株式会社 山仁酒店 代表取締役社長)は、マスター・オブ・ワインを目指す決意から10年かけての取得だそうです。
しかもここ数年は、1日8~10時間を勉強に費やしたとのことで、マスター・オブ・ワイン合格時の大橋健一氏のコメントにも「試験やコンクールに向けて勉強するのは好きなのだが、今回だけは勉強するのがつらいと思った」とあり、本当に大変な資格であることが伝わってきますね……。
という訳で、上記の内容を含めて
「私には無理です」
と上司に報告しましたところ、納得していただけました。
「そっか」の一言で。
軽いなー。
ちなみに大橋氏のコメントは、さらに以下のように続いていました。
「東京五輪で世界の注目が日本に集まっているおり、グローバルな視野を持って、日本のワイン業界と世界のワイントレードをつなぐ架け橋になれれば。名前も大橋(ビッグ・ブリッジ)ですから(笑)」
小粋なジョークも交えつつ、日本のワイン業界に向けた展望を語っておられます。
2016年も、日本のワイン業界が盛り上がってくれると嬉しいですね!
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