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「葛巻産 山葡萄」×「日本樽発酵・熟成」オールジャパンワインが誕生!岩手くずまきワイン『Kuzumaki Story 1』
[公開日]
構想10年!古来より葛巻の地に自生する山葡萄を、日本のミズナラで作った樽で発酵・2年熟成した『Kuzumaki Story 1』
限定300本が発売から一週間で完売!
岩手県の葛巻町でワイナリーやレストランを展開する岩手くずまきワインが、葡萄も樽も日本産の『Kuzumaki Story 1』を発売しました。
『Kuzumaki Story 1』は、葛巻産の山葡萄のみを使用し、日本産ミズナラ樽で発酵・熟成したという、オールジャパンにこだわったワイン。
構想10年、山梨大学ワイン科学研究センター、国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所との共同研究により実現に至り、熟成に2年をかけた特別なワインです。
オールジャパンワイン『Kuzumaki Story 1』は、山葡萄の力強さとエレガンスとを備えた至極豊穣なワインへと仕上がりました。
限定300本の生産でしたが、発売後は口コミによりわずか一週間で完売したとのこと。
「この地に自生する山葡萄でワインを造れないだろうか」という考えからスタートしたという岩手くずまきワインでは、フランスやアメリカなどから輸入した木樽をワインの発酵や熟成に使用している現状に疑問を抱いていたのだそう。
日本のミズナラ樽は戦後まもない頃まではウイスキーなどを中心に一般的に用いられていましたが、加工の難しさや樹木の成長に年月がかかるといった理由により、海外産のシェリー樽の供給増加に伴ってニーズが減少していき、現在では非常に希少なものとなっています。
そうした中で、真のオールジャパンの日本ワインを目指して国産のワイン用木樽を実現させようという取り組みが、有明産業を始めとする木材・林業関係者、木材コーディネーターの協力、また農林水産業みらい基金の助成により実現しました。
さらに、樽の樹木成分による味や香りの違いを山梨大学ワイン科学研究センター・森林総合研究所と分析、共同研究をしながら進めている点も、『Kuzumaki Story 1』の大きな特徴です。
葛巻産のオールジャパンワイン第一号となった『Kuzumaki Story 1』は、岩手くずまきワインが最も大事にしている葛巻の地への感謝の意を込め、またこれからも続いていくオールジャパンワインの物語を表現した名前を冠しています。
『Kuzumaki Story 1』は国産のミズナラを使った樽で発酵・熟成させたワインですが、今後は桜や栗などの木材を使った樽でどのような味の違いが生じるか、樽の内面のローストの具合でどのような香りの違いが生じるかをデータ分析しながら、長期にわたってオールジャパンワインの研究を進めていく予定とのこと。
日本で太古から愛されてきた山葡萄と日本で育ったミズナラとが織りなすオールジャパンワインの物語のこれからに期待が集まっています。
『Kuzumaki Story1』商品概要
葛巻産の山葡萄と日本産ミズナラ樽によって完成した、葛巻産初のオールジャパンワイン。
山葡萄が持つ本来の力強さ、生命力のようなものが立ち上がり、独自の存在感が宿った1本。
2年間の樽熟成により、山葡萄の酸味に複雑味とほのかな甘さが加わり、深い余韻を残す味わいへと仕上げられています。
■商品名
『Kuzumaki Story1』 KUZUMAKI 2020
■アルコール度数/容量
10.5%/720ml
■品種/タイプ
岩手県葛巻町産山葡萄100%/辛口
■公式サイト 特設ページ
https://kuzumakiwine.co.jp/japanese_wine_barrel/about/
岩手くずまきワイン 醸造家・大久保圭祐氏コメント
山のかみさまが微笑んでくださったようにも感じています。
まずはグラスに注いで美しい至極色(深紫)をお愉しみください。
ジャパニーズオークと山葡萄の相性は最高だったようです。山葡萄が持つ本来の力強さ、生命力のようなものが立ち上がり、独自の存在感が宿りました。
このワインは仕込み後すぐに樽に移して発酵。瓶詰めする直前までの2年間、酵母を含む澱を残したまま同じ樽の中で熟成させ続けました。樽熟成は、通常、ワインが出来上がってから行うものなので、ワイン造りにおいては仕上げの意味合いが強いのですが、「Kuzumaki Story1」( KUZUMAKI 2020)は発酵からずっと同じ樽とともに在ったことを考えると、単なる仕上げのための樽ではありません。このワインにとって、もっと重要なパートナー的な存在といえると思います。
ですから、今回の日本樽を使うという試みは、オールジャパンのワイン造りに非常に意味があることだと考えています。そして、きめ細やかなタンニンが生み出したビロードのような舌触りは、まるで山のかみさまが微笑んでくださったようにも感じています。
ぜひ、常温でお召し上がりください。
国立大学法人山梨大学 生命環境学部長
山梨大学ワイン科学研究センター教授 奥田徹氏コメント
とても上品なワインが誕生しました。
今、ワイン業界では、使用する葡萄がどのような気候や土壌で育ったものであるか、どのような文化と人の営みによって育まれてきたのか、という”テロワール”の概念がより重視されています。そのような中で、縄文時代から日本人が親しんできた山葡萄を日本のミズナラ樽で熟成させる試みは非常に興味深いものです。そして、何より味わい深い逸品が誕生しました。
試飲した第一印象は、次の通りです。ぜひ、ご自身の舌で感じ、楽しんでいただければと思います。
「アントシアニンの濃い色と比較的強い酸味があり、山葡萄らしいワインと感じます。一方で、野性味はそれほど強くなく、とても上品なワインになっています。後半に樽由来の香りがはっきり感じられ、普通のフレンチオークやアメリカンオークとは異なるミズナラらしい特徴(白檀の香りなどともいわれています)が明確に感じられます。この香りがワイン全体を丸く包んでいる印象で、ワインを優しくしています。イノシシなどのジビエにも合うかもしれませんが、極上の醤油のような塩味も強く感じられ、様々な食品との相性を探してみるのも楽しそうです。熟成によりさらに大きく変化すると思いますので、10年ぐらい寝かせてから再度飲んでみたいと思います。」
山梨大学大学院 総合研究部附属 ワイン科学研究センター
http://www.wine.yamanashi.ac.jp/index.html
木材コーディネーター・鈴木直子氏コメント
森のワインで乾杯!
「未来の子どもたちに豊かな森を残したい」と日々考え続け、林業の厳しい現実に触れる中で、ある方から「日本の広葉樹でワイン樽を作れないか」と、相談を受けたのは、もう10年以上も前のことになります。
そもそも、日本のワイナリーで使われている樽が輸入したものであることすら、最初は知りませんでした。戦前には国産樽もあったようですが、それもいつしか消えてしまっていたのです。
その相談は、次第に私の中で大きな宿題となり、どうすれば実現できるのか、樽メーカーを探し、各地のワイナリーを巡るようになりました。その中で出逢ったのが「くずまきワイン」さんでした。
岩手には北海道に次ぐ広葉樹の土場(集積場)があり、東北の広葉樹が集まる地域です。この地であれば、樽用材となる広葉樹(ミズナラ・栗・山桜)が豊富にあります。それに古来より、滋養強壮や増血に効果があるとされ、貴重な栄養源であった山葡萄でワインを造っていらっしゃるのが「くずまきワイン」さん。これはおもしろい、と思いました。
また、こちらならば、いずれは樽工場を設置することもできますし、カスケード利用(多段階的活用)の仕組みをつくることも可能です。
持続可能なオール岩手のものづくりが実現するのです。
そんな思いを、長い時間をかけてくずまきワインの皆様と語り合い、多くの方と実現に向けて歩みながら誕生したのが今回の「Kuzumaki Story1」( KUZUMAKI 2020)です。
日本の森林に思いを馳せ、じっくり味わっていただけますと幸いです。
なお、次なる樽の作成、ワインの仕込みもスタートしています。これからの葛巻、そして日本樽の拡がりにもご期待ください。
有明産業 坂本賢弘氏コメント
難しい挑戦だからこそ、やりがいがあります。
木材コーディネーターの鈴木直子さんから国産材でのワイン樽の作製依頼を受けたとき、大変戸惑いました。
我々は蒸留酒の樽作りは得意ですが、醸造酒の樽は作ったことがなかったのです。なんといってもミズナラという材は漏れやすく、さらにワインは大変漏れやすいのです。
まずは、西野製材所さんと樹齢100年以上の材を探すことから始め、どういうロースト具合がよいのか、どういう製法がよいのか、試行錯誤が続きました。
7年近く失敗の連続の日々でした。
ですから、こうして「Kuzumaki Story1」が味わえて感慨無量です。そして実にうまい。
さらに今後は、地元県産のさまざまな材を使って新たな樽づくりに挑戦していきます。
くずまき Storyは続きます。
2022/12/26 株式会社岩手くずまきワイン プレスリリースより引用。
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