知ってる?ワイン話
【月の港に続く道 第9回】「インスタ・ワイン」デジタルで楽しむワインライフ~つながるワイン~
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『「ビズ・ワイン」革命始まる』著者の今西正典氏による、生涯続くワインライフを楽しむためのスペシャルコラム『月の港に続く道』第9回。
今回は、Instagram(インスタ)で楽しむ新しいワインライフにスポットが当たります。
様々なSNSの中でも、”映え”が重視されるという特色のあるインスタ。
インスタを通じて多くの人とワインライフを共有することで、ワインに新たな可能性が生まれるかもしれません。
「月の港」ボルドーへ続く道を、楽しみながら歩いてみましょう。
第9回 ワインライフの可能性を広げる「インスタ・ワイン」~つながるワイン~
インスタグラムで楽しむ新たなワインライフ
社会が豊かになりそこに住む人々の生活が成熟するにつれ、人間の幸福観も変化していきます。
それは、ワインがもたらす満足感にも当てはまります。
高度成長期にやっと少し甘いワインが市場に出回り始めた頃の「西洋の飲み物ワインを飲んでみたい」という単純な好奇心から、、社会が豊かになるにつれ「ハレの日にはフレンチ・レストランでワイン」という高質なライフスタイルへの憧れが生まれました。
バブル期には「ピンドン、ロマコン」などの俗語が生まれ、高級ブランド志向が流行ります。
そして、成熟社会となり自然環境や地域文化が見直される時代に至って、ワインを通した自己実現という従来にはない、少し高尚な楽しみ方も提案されています。
それは、ワインを飲むという行為さえ超越しています。
地域でブドウ栽培や醸造を始めたり、クラウドファンディングで作り手を支援したりという行動となり表れています。
ワインのあるスタイリッシュなライフスタイルをインスタグラムで拡散させるというのも、まさに自己表現、自己実現のひとつの方法であり、世界に共通する現代の新しいワインの楽しみ方です。
Instagram(インスタグラム)とワイン
Instagram(インスタグラム)で#WINEを検索すると5,600万件、#ワインは406万件も存在します。
国内3,000万人、世界中で10億人と画像イメージでつながっています。
ワイン好きのインスタグラマーにとっては、当然ワインライフにおいてもインスタ映えが重要になってきます。
ワインの色調、ボトルやフード、グラスやカトラリーとのビジュアル感、ワインを飲むシチュエーション、登場人物のファッション、メイク、表情や所作、照明を始めとする撮影ノウハウなどのファクターが重要になります。
具体的なワインの品質を伝えるパーカーポイントやティスティングコメントは、むしろ必要ありません。
満足できるスタイルを切り取ることができ、それに共感するフォロワーが現れた時の達成感、自己実現がこの場合のワインの魅力になります。
でも、ワインのインスタグラムはただビジュアル、デザイン的に綺麗であるだけでは不十分です。
被写体のワイン自体が良質であることはあたりまえ、そのうえでこのワインだからこそ、飲み手のライフスタイルを素晴しく演出できるという必然性を具体的なイメージの中で表現することにワインインスタとしての意義があるのでしょう。
これは、ワイン販売やレストランのプロモーションにも通じる必要な手法です。
インスタグラムの中のコンテンツがリアルな日常風景と同じでは面白くありません。
そのほとんどは非日常的なシーンを映し出しています。
今、インスタグラムが世界のメディアとして拡大しているのは、バーチャルがリアルの世界を引っ張っているからです。
フォロワーはインスタグラムのバーチャルなライフスタイルに憧れ、再現したいと思います。
それが行動のエネルギーになっています。
インスタ時代のワインの楽しみかたは、既存の教科書をなぞるだけではいけません。
教科書は過去の事例に基づいたリアルであり、リアルを越えるためにはその先の新たな冒険が大切です。
ワインはまだまだ成長過程にあります。
今でも新しい産地や品種のワインが増えています。
われわれの生活環境も、良きにつけ悪きにつけ変化しています。
まだまだ、ワインの新しい可能性を開拓するための材料は枯渇していません。
そんな中で、身近なチャレンジからでも、冒険的なワインライフを楽しんでもらいたいものです。
そんなシーンをインスタグラムにUPして頂ければ、私も是非フォローさせて頂きます。
今日もワインに関するよもやま話をしながら、月の港に続く道を歩むことにしましょう。
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MBA経営学修士でありアジア各地にて貿易事業を展開するビジネスパーソン。
WSET LEVEL 3 AWARD IN WINES、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、J.S.Aワイン検定講師の資格を持ち、ワインをビジネスに活用する「ビズ・ワイン」を提唱。
著書に『「ビズ・ワイン」革命始まる』を持つ。